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不動産の持分更正登記

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    1. 住宅ローン控除や贈与税に関連するケース (2021/04/02記載)
    2. 登記の申請の方法と関連先例について (2021/04/15更新)

     

    住宅ローン控除や贈与税に関連するケースについて

    事例

    昨年、妻と共同でマンションを購入しました。マンション購入費用は3,000万円で、夫である私が単独で住宅ローンで組みました。登記での夫婦の持分を2分の1ずつの共有名義としました。住宅ローン控除の利用をするため税務署にて手続きをしたところ、妻の持分が資金の割合より多くなった分、夫である私の住宅ローン控除による還付額が減額されるとのことでした。

    そこで、不動産の共有持分の割合を修正したいのですが、お手続きは可能でしょうか??

    回答

    所有権更正登記によって、持分割合を更正(修正)する登記をすることが可能です。

    今回は、住宅ローン控除利用だけにとどまらず、ご主人から奥様への贈与とみなされる可能性もあります。(奥様が、住宅ローン資金割合より多く持分を多くもらっているためです。)

     

    所有権更正登記(持分の更正)とは?

    もともとの登記に錯誤があることを原因として、『所有権更正』という登記目的で申請を行います。

    登記申請の当事者は、今回の更正で持分が増加する一方を登記権利者、減少する一方を登記義務者とする共同申請です。

     

    どちらか単独の所有者に更正する登記はできないの?

    お手続き上は可能ですが、実質的に困難なケースが多いです。

     

    困難なケースその➀

    単独の所有者に更正する場合、前主(不動産を購入した際の売主)の協力が必須です。

    但し、前主はお手続きの協力する義務は既にありませんし、そもそもご連絡が取れない可能性もあります。

     

    困難なケースその➁

    例外的なものを除き住宅ローンを利用した金融機関の承諾書(金融機関の実印の押印が必須)が必須です。

    但し、この承諾書を交付することは一瞬でも、住宅ローンの担保を失う可能性があるため、金融機関の承諾が得られないことも十分あり得ます。

     

    以上のケースを踏まえると、持分のみの更正は、上の➀➁に関する書類は必要がないメリットがあります。

    また、更正後の持分の割合を実質的に単独に近い割合にすれば、住宅ローン控除・贈与税の課題はクリアできるでしょう。

    (ご心配な場合、住宅ローン控除・贈与税については、税務署や税理士にご相談することをお勧めします。)

     

    ただし、更正の登記をする場合、必ず金融機関にご相談とご了承を得てください。

    (➁の承諾書は不要であったとしても、了承は必須です)

    登記の申請の方法と関連先例ついて

    本稿では、申請書(申請情報)をご紹介しながら、先例をご紹介します。

    (詳しくは共有持分更正こちらの記事をご覧ください。)

    ================================

    ・登記記録の所有者が下記内容になっています。

    持分 2分の1   A

    2分の1   B

    ————————————————————————-

    ・所有権の持分を、下記内容に更正します。

    持分 100分の99   A

    100分の1    B

    ================================

     

    上記の内容に構成をする場合の登記の申請書は以下の通りです。

     

    申請書

    登記の目的 所有権更正

    登記の原因 錯誤      ←先例➀

    更正後の事項

    A持分 100分の99

    B持分 100分の1

    登記権利者 何市何町●番地○  A

    登記義務者 何市何町■番地□  B

    添付情報          ←先例➁

    登記原因証明情報

    登記識別情報または登記済権利証(Bのもの)

    印鑑証明書(Bのもの)

    代理権限証明情報(A、Bの委任状)

    〝承諾を証する情報〟    ←先例➂

    登録免許税 金    円  ※筆数✕1,000円です。

     

     

    以上の内容が申請内容です。

    この申請に関連する主な先例を挙げておきます。

     

     

    先例リスト

    先例➀:登記原因の記載方法(先例昭39.5.21-425)

    登記原因は『錯誤』とし、日付は不要です。

    先例➁:住所証明情報(住民票等)の是非について(質疑登研391P110/不動産登記令別表30)

    更正登記により新たに登記名義人になるものは住所証明情報が必要です。

    (今回はABの持分の更正だけであり、2人の住所はすでに登記簿に載っています。

    つまり、新たな名義人ではなく、そのためABの住所証明情報は不要です。)

    先例➂:承諾を証する情報(=利害関係人の承諾書)(利害関係人の実印が求められます。個人の場合は印鑑証明書必須)
    (先例昭47.5.1-1765)

    更正登記により、持分が減る方の持分(今回のB)だけを目的とする抵当権者などが利害関係人となります。

    ※不動産全体(ABで所有)を目的とした抵当権者は利害関係人にはなりません。

     

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