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事前通知制度について~権利書をなくしたとき~

ご相談者様からご相談を受けました。

『自宅の住宅ローンの担保はもう消せないでしょうか…?』

『近日、自宅を売却するために、担保をどうしても消さないといけないのに…。』

そのお客様は、以前に住宅ローンを完済し、銀行から担保を消すための書類を受領しました。
しかし長らく放置しており、紛失してしまったのです。

※ちなみに、紛失した書類には以下のような書類があったはずです。
書類が一つでも不足していれば、原則的に登記はできません。(=担保を消せません。)

①担保を消すための証明書…『(根)抵当権解除証書』、『担保権消滅証書』

②住宅ローンを組んだ金融機関の委任状

③住宅ローンを組んだ金融機関の権利書(または、登記識別情報)

④住宅所有者様の委任状

※①~③のうち、③をなくした場合がもっとも大変です。

なぜなら、①、②の各書類は金融機関の押印書類のため、依頼すれば金融機関より再発行できます。

しかし、③の権利書は法務局が発行した書類を、担保保全のため金融機関が保管しているにすぎません。

また、権利証を再発行する制度がないため、法務局も再発行できないのです。

(④は、所有者であるご相談者様がご用意すればいいだけなので問題ありません。)

前置きが長くなりましたが、以上のような場合のための手続き方法はあります。
その手続き方法の一つをなるべく簡単にご説明しましょう。

『事前通知制度』

こちらの制度は、③を除く書類をもって登記の申請を行います。
申請後、法務局(登記官)が金融機関に対して、今回の登記申請があった旨、その内容が真実であるかを確認するための書面(ハガキ)を通知します。
金融機関は、その申請が真実と考えるならその旨を原則2週間以内に法務局に返信します。

要は、担保が消えると不利になる(損する)金融機関に対して、法務局は『この登記の申請は間違いないの?』と聞き、金融機関から『間違いないよ』との回答をもって、権利証がなくても、担保を消すことができるのです。

次に、この制度について、気を付けるべきポイントを記載します。

ポイント❶:再発行していただけるまで日数がかかる。

事前通知制度において、②の委任状は、金融機関の実印が押印されているものが必須となります。
その事情もあって再発行までに日数がかかります。
(逆に、①~④の書類がそろっていれば、②の金融機関の押印は認印でいいです。権利書の紛失はそれだけ大変なことなのです。)

そのため、売却などのご事情がある場合は、スケジュールに余裕があるようにする必要があります。

ポイント❷:売買の前に担保を消す必要がある。

実務上、事前通知制度は不動産の売却等の事案にはなじみません。
仮に、金融機関が法務局にたいして通知に対する返答をしないと、担保抹消の登記は取り下げられるからです。
そのようなリスクがある状態で高額な不動産取引は行うことはできません。

この事前通知制度は、思ったよりも万能ではないことがお分かり頂けましたでしょうか?
ですが、その他にも権利書をなくした場合に対応できる制度があります。
その制度については次の機会にご説明しましょう。

 

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