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「長期相続登記未了土地」について

前編 2023/10/27更新

所有者不明土地問題

いよいよ来年、令和6年4月1日から相続登記が義務化され、怠った場合は過料が発生するようになります。また、令和8年4月1日からは、住所・氏名変更の登記も義務化され、同様に懈怠した場合は過料が科されることになります。
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現在、日本の国土の3割弱について、名義変更等の登記の不備により、その所有者がわからなくなっており、公共事業や市街地開発などの妨げになっています。
この 「所有者不明土地問題」の解決をはかって、民法ほか関連法制の見直しが進んでいます。
相続登記および住所・氏名変更の登記の義務化も、この一連の法改正によるものです。

また今年の4月からは、相続した土地を手放し、管理の行き届かない土地を国の管理下に置くための新制度「相続土地国庫規則制度」が始まっています。

 

長期相続登記等未了土地解消作業

所有者不明土地の解消対策の一環として、義務化に先駆け平成30年からはじまったのが、「長期相続登記等未了土地解消作業」です。

法務局は、最後の登記から原則70年以上が経過している土地を対象に、その所有者について相続発生の有無を調査し、登記名義人が死亡してから30年以上経過している場合には、その法定相続人について調査を行います。登記官は戸籍等の調査結果に基づき、相続人を一覧図にした「法定相続人情報」を作成し、嘱託調査を行ったことを登記簿に記載します(※1)

※1 実際の調査は、入札形式で各地の司法書士が受託し、担当します。戸籍や住民票は登記官による公用請求の形がとられているようです(司法書士が作成した申請書を法務局から発送し、自治体は法務局宛に戸籍や住民票を返送されるなど)。

登記簿には「長期相続登記等未了土地」である旨の付記登記が入り、「法定相続人情報」の作成番号と日付が記載されます。

 

相続人への通知

調査の結果は法定相続人に通知されます(法定相続人となる方のうち,調査対象不動産の近郊に居住されている方や、親等的に近い方など、登記名義人(所有者)を知っていると思われる方に優先的に送られるようです)。

通知書面には、当該土地について、長期間にわたり相続登記が行われていないこと、受取人が相続人に該当することが記載され、相続人に相続登記が促されます

 

法定相続人情報

「法定相続人情報」(※2)には、法定相続人全員の名前、住所、生年月日、間柄などが記載されます。一覧図のデータは法務局に備え付けられ、12桁の作成番号が付されます。登記申請の際は、作成番号の提供をもって、相続証明情報として必要な戸籍、除籍謄本等や、住所証明情報として必要な住民票等の添付を省略することができます。

※2 「法定相続人情報」は「法定相続情報」とは全く別の証明書です。
「法定相続情報」について、くわしくはこちら。

 

 

後編 2023/11/24更新

前回の記事では、「長期相続登記未了土地」についてあらましを紹介しました。では、実際に通知が届いたら、どうすればよいのでしょうか?

 

法務局から「長期相続登記未了」の通知が届いたら

令和6年4月1日から、正当な理由なく相続登記を怠った場合は過料が発生するようになります。そのため、法務局から通知が届いたら、すみやかに「法定相続人情報」を閲覧し、不動産を確認することをおすすめします(通知が届いた時点で、受け取られた方は法定相続人であることが法務局によって確定されています)。

 

「法定相続人情報」の閲覧

相続登記は、その不動産を管轄する法務局に申請する必要がありますが、「法定相続人情報」は全国どこの法務局でも閲覧することができます。また、閲覧請求は通知を受けた方以外の法定相続人からも可能です。その場合であっても、法務局は法定相続人をすでに確定しているため、相続関係を証する戸籍等の提示は必要ありません。
閲覧申請にあたっては、顔写真付きの本人確認資料が必要です(お持ちでない場合は、実印を持参し、印鑑証明書をもって閲覧請求を行うこともできます)。

なお、もちろん閲覧請求を司法書士に依頼することも可能です。

【必要な書類等】

・顔写真付き本人確認資料
(お持ちでない場合は、実印と印鑑証明書)

代理人が行く場合
・委任状
・委任した方の顔写真付き本人確認資料の写し
・代理人の顔写真付き本人確認資料 など

このとき、「長期相続登記未了」の通知が手元にあれば持参します。

 

不動産の確認

不動産は最寄りの法務局の窓口で登記事項証明書(登記簿)を取得することで確認できます。また、法務省の「オンライン登記情報提供サービス」も便利に利用いただけます。場所が分からない場合は、法務局で公図(あるいは地図情報)を取得したり、山林の場合は各市区町村の農林課等で「森林簿」を閲覧するなどの方法があります。

また、このとき登記簿の閲覧とあわせて、不動産の所在の市区町村の課税課で名寄帳を取得し、不動産の固定資産評価額を確認するとともに、ほかにも所有されている不動産がないかを確認することをおすすめします。

 

遺産分割

「法定相続人情報」記載の相続人の全員で不動産の分割方法についてお話合いいただき、通常は「遺産分割協議書」を作成します。
遺産分割協議書とは、遺産の分け方を書面にまとめたものです。相続人全員(※3)が実印で押印し、印鑑証明書を添付します。

※3 相続放棄をした方を除く

 

相続登記

遺産分割協議書ができたら、不動産を管轄する法務局に登記申請を行います。

登記申請書には、「法定相続人情報」の作成番号(12桁)を記載することで、戸籍等の添付を省略することができます。相続人は「法定相続人情報」によりすでに確定されているため、戸籍等の取得は必要ありません。ただし、「法定相続人情報」が作成された後にさらに相続が発生している場合は、その相続について証明する戸籍等が必要です。

また、被相続人の登記簿上住所や、不動産を取得する方の住所を証明する情報としても援用できるため、住民票等の添付も省略することができます(ただし、「法定相続人情報」に当該住所が記載されていない場合や、相続人が住所変更している場合は、別途住所証明書の添付が必要です)。

なお、この「法定相続人情報」は、「長期相続登記未了土地」の登記がされていない不動産の相続登記にも援用することができるようです。

【例】

・同じ被相続人が所有する別の不動産の相続登記
・被相続人の死亡した相続人であって、「法定相続人情報」によりその相続関係が確定されている場合、その相続人名義の不動産の相続登記

(詳しくは、管轄法務局に事前相談することをおすすめします)

 

相続登記のことならいわさき事務所へ

法務局に「法定相続人情報」が備え付けられている場合、作成番号を援用することで、膨大な手間と費用がかかる戸籍調査を省略し、相続登記を行うことができます。法務局から通知を受け取られた方は、この機会にぜひ相続登記を申請されることをおすすめします。

来年から始まる相続登記義務化に備え、当事務所までぜひご相談ください。

当事務所の「相続登記サポート」については、こちら

 

詐欺にはご注意!

法務局からの通知で、いきなり過料を請求されたり、調査費用を求められたりすることはありません。法務局を騙る詐欺にはくれぐれもご注意ください!

 

 

令和6年4月1日から相続登記が義務化され、怠った場合は過料が科されることになりました。

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