公正証書遺言作成の流れ
遺言とは、ご自身が生涯をかけて築き、守ってきた大切な財産を、有効・有意義に活用してもらうために行う意思表示です。
遺言書にはいくつかの種類がありますが、そのうちの公正証書遺言は公証人が遺言者様の真意であることを確認して作成するものです。公正証書遺言は、家庭裁判所での検認手続を経る必要がないので、相続の開始後、速やかに遺言の内容を実現することができます。また、方式の不備や遺言が無効になるおそれもありません。公正証書遺言は、自筆証書遺言と比べて、安全確実な遺言方法であるといえます。
今回は、遺言公正証書作成の流れについて、簡単にご紹介します。
遺言の種類についてはこちら
※自筆証書については、法務局に保管する制度も始まっています。紹介記事はこちら
目次
1.資料の収集・遺言書案の作成
弊事務所にて作成に必要な資料(戸籍等)を収集し、原稿案を作成します。
遺言者様のご希望や思いをお聞きして、お気持ちを最大限に叶えることができるような案をご提案します。
原稿案・お見積書をお渡ししますので、遺言者様にてご検討をお願いします。
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2.作成予約
作成日時について、事前予約を行います。
公証役場にて、あるいはご病気や体調等の事情で訪庁が難しい場合、遺言者様のご自宅や病院等で作成を行うこともできます(公証人手数料として、出張料・日当が加算されます)。
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3.作成当日
遺言者様、公証人、証人の三者立会い(※1)のもと、遺言公正証書の作成が行われます。
公証人よりまずは遺言者様の本人確認として、ご自身のお名前・生年月日・ご住所・家族関係等の基本情報や、遺言の意思確認として財産の内容(相続人/受遺者の方のお名前・続柄や、相続させる財産の内容についてなど)の確認が行われます。
次に、予め原案通り用意された遺言について、読み聞かせ・内容確認が行われます。
内容に異存なければ、遺言者様、証人、公証人の順に、署名と捺印を行います。以上で遺言証書の原本が完成しますので、これをもとに正本・謄本が交付されます(※2)。
※1 立会人について
遺言者様が自らの真意を任意に述べることができるように、作成時には利害関係人となるご家族等に席を外していただく運用が行われています。
※2 公正証書の原本・正本・謄本について
原本は公証人役場に保管されます。
正本は原本と同一の効力を有する証書ですが、実際の相続実務において正本・謄本につき大きな違いはありません。なお、正本や謄本を紛失した場合は公証人役場にて再交付請求を行うことができます。この場合の請求権者は、遺言者の存命中は遺言者、相続開始後は相続人に限られます。
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4.作成した遺言の効力について
公正証書による遺言は家庭裁判所の検認手続を受けることなく効力を有します。
また、遺言書の撤回・変更は、ご本人様に限り行うことができます。
遺言書の撤回・修正は、公証人役場で新たな遺言を作成することで行います。
「遺言を撤回する」という遺言、もしくは前に作成した遺言と異なる内容の遺言を作成することで、撤回もしくは変更(異なる記述部分について)を行ったことになります。
遺言執行者について
遺言執行者とは、遺言者様が亡くなられた後、ご本人に代わって遺言の内容を実現する事務を行う人のことです。遺言で遺言執行者を指定しておけば、不動産の名義変更や凍結した預金口座の解約等を遺言執行者が単独で行うことができ、相続手続きがスムーズに進みます(一方で、遺言執行者は、相続人に遺言書の内容を通知する義務、相続財産目録の作成・交付義務などを負います)。
弊事務所を遺言執行者としてご指定いただければ、相続開始後の手続きを安心してお任せいただけます。なお、相続人や受遺者を遺言執行者として指定することもできます。
遺留分について
遺留分とは、民法で定められた、兄弟姉妹・甥姪以外の法定相続人が最低限相続できる割合のことです。ただし、遺留分を侵害する内容の遺言がすなわち無効になるわけではありません(たとえば、すべての遺産を○○に寄附(遺贈)するという内容でも、それ自体は問題なく有効です)。
遺留分はあくまで相続人が最低限の財産を受け取ることができるようにする権利であり、遺留分権利者は、遺留分相当額の現金を請求することができます(遺留分侵害額請求権)(※3)。
※3 遺留分侵害額請求の時効は、遺留分が侵害された事実を知ってから1年以内です。
なお、遺留分が侵害されている事実を知らなかったとしても、相続開始から10年経過すると、遺留分侵害額を請求できなくなります。
法定相続人の考え方についてはこちら
予備的遺言について
たとえば、長男と二男に財産を相続させる遺言をした場合において、万一、長男が遺言者様よりも先に死亡してしまったとき、遺言のうち、長男に相続させることにした部分は無効になってしまいます。その部分は遺言がなかったことになるため、相続人間で改めて遺産分割協議をしなければ、遺産の帰属先が決まらないことになります。そのような事態を防ぐために、その場合の帰属先をあらかじめ二段構えで予備的に定めておくのが予備的遺言です。
遺言書の作成はいわさき総合事務所にお任せください!
大切な家族やパートナーに対して、「財産を遺したい」「負担をかけたくない」という気持ちを形にし、あなたの亡き後、円満に相続手続きをする方法が遺言です。あるいは、築いた資産を特定の人物に遺すのではなく、地方公共団体や社会福祉団体、医療施設や児童養護施設、大学や研究施設などに遺贈という形で寄附するという選択肢もあります。
せっかく作成した遺言でも、不備があってはご自身の思いをかなえることができません。確実・安心な遺言を遺せるよう、専門家に相談いただくことをおすすめします。
また、老後の対策としては、遺言書のほか、任意後見制度や家族信託を検討したり、財産管理や死後事務委任契約などの備えをすることも考えられるでしょう。遺言を作成したり、各種契約を結んだりと、積極的な老後の備えができるのは、ご本人がお元気なときだけです。お元気なうちに、ご自身や親族、近しい方々の相続について考えてみてください。
皆さまのお悩み・ご心配ごとの解決を、いわさき事務所がお手伝いします。お気軽にご相談ください。
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