相続土地国庫帰属制度 申請の手順
相続土地国庫帰属制度の利用を検討される際は、まず第一に土地が『法令で定められた通常の管理又は処分をするに当たり過分の費用又は労力を要する土地ではないこと』の要件に該当していないことの確認が必要となります。
(1) 申請をすることができないケース(却下事由)
(2) 承認を受けることができないケース(不承認事由)
のいずれにも当てはまらないことが必須条件であるためです。
これらの要件に当てはまっていないことが確認できましたら、いよいよ土地を国庫に帰属させるための申請書の作成にかかります。
申請書は申請書本体と添付書面が必要です。
目次
申請書
法務局のホームページ記載の申請書の記載例をもとに作成していきます。
記載項目は、主に、
・申請者の住所氏名
・土地の情報(所在・地番・地目・地積)
・土地所有者の住所氏名
であり、その他は土地が『法令で定められた通常の管理又は処分をするに当たり過分の費用又は労力を要する土地ではないこと』の要件に該当していないことの確認や、添付書面の確認についてのチェック項目になっています。
添付書面
添付書面は以下の3種類をそれぞれ作成します。
→添付書面はどの土地のものかわかるように土地の所在、地番を明記します。
→用紙サイズはA4でもA3でもOKです。法務局は隣地所有者へ通知文を送る際、添付書面を資料として用いるようです。
(1)承認申請に係る土地の位置及び範囲を明らかにする図面
国土地理院地図、住宅地図、登記所備付地図等に、申請土地の所在及び所有権の範囲を示します。
(2)承認申請に係る土地と当該土地に隣接する土地との境界点を明らかにする写真
① 地図に示した撮影場所の番号を表示してください。
② 撮影場所ごとに境界点又は境界線等境界の周囲を撮影した写真を添付してください。
③ 境界点(矢印で示してください)を起点として、認識している境界点及び境界線をマーカーで示してください。
承認申請にあたり境界の確定までは求められていません。隣地所有者と合意の上で設置された既存境界標またはそれに準じる工作物、境界を示す地物・地形等がある場合には その箇所を境界点とし ます。
既存境界標等がない場合には、仮杭等の亡失のおそれの小さい素材で位置を示す目印を設置します 。境界点の表示は、ポール・プレート・テープ類の設置等簡易なもので差し支えありません。
ただし、申請時、法務局の審査時及び国庫帰属時も境界点の表示が残っている必要があります。これは、表示された範囲で帰属後の土地を管理することになるためです 。
(3)承認申請に係る土地の形状を明らかにする写真
① 近景写真
② 遠景写真※インターネットに表示された国土地理院地図の航空写真なども使用できます。
【その他】
・申請者の印鑑証明書(期限なし)
・審査手数料額相当の収入印紙(土地一筆当たり14,000円)
・固定資産税証明書(課税明細などのコピーでも可/添付ができない場合は法務局が取得するための同意書を提出します)
・土地の名義人が違う場合は、自身が相続人であることをを示す書類、遺言書
を添付します。
提出先
承認申請書は、帰属の承認申請をする土地が所在する都道府県の法務局・地方法務局(本局)の不動産登記部門(登記部門)に提出します。法務局の窓口に持参する方法または郵送(書留形式のみ)で提出する方法があります。
持参の場合は事前に持参する旨を電話等で伝えておくと、申請書及び添付書面のチェックをしたうえで受け付けてくれます。
その場で受付証(相続土地国庫帰属申請)が発行されます。
承認申請後の流れ
今年から始まった『相続土地国庫帰属制度』を利用して国庫に帰属した不動産はまだありません。半年~1年の審査期間を要するためです。
申請後、国は土地を国庫に帰属させるため、審査を開始します。
国庫帰属申請にあたり、まず自治体にも土地の情報が提供されます。国庫帰属は申請者に負担金が課されますが、自治体への寄附ならば申請者の金銭負担といった仕組みはありませんので、申請者にとってメリットがあると考えられます。自治体からそのような要望があれば、国庫帰属ではなく自治体への寄附へと移行することも可能です。
また、隣地所有者へ境界の確認の件で通知が送られますので、隣地所有者が土地を引き取りたいという申し出をされることも考えられます。その場合も隣地所有者との直接の交渉へと切り替えることも可能です。
もしくは申請者本人が死亡してしまうということも、長期間の審査期間には起こりえることです。
上記にあげたケースはいずれも承認申請の取り下げは可能です。ただし審査手数料の返還はありません。
負担金については、土地が国庫に帰属することが正式に決定してからの納付となります。
『相続土地国庫帰属制度』の申請者は相続により対象土地を取得した相続人に限られます。しかしご自身で申請書や添付書類(以下「申請書等」という。)を作成することが難しい場合には、申請書等の作成を代行してもらうことができます。
その場合、業務として申請書等の作成の代行をすることができるのは、専門の資格者である弁護士、司法書士及び行政書士に限られます。
私たち司法書士法人いわさき事務所は普段から司法書士のメイン業務である「不動産登記」を通じて不動産業界及び法務局とは近しい立場にあります。そして相続手続きをさせていただいたお客様より本制度の利用について既に多くのご相談をいただいております。
『相続土地国庫帰属制度』に関する法務局での無料相談を受けられた上で、司法書士への申請書等作成代行依頼についての相談ももちろん承っております。
不動産は所有しているだけで固定資産税をはじめとした管理費のコストが発生します。不動産を手放すことを検討されている方は、早めの着手をおすすめいたします。
令和6年4月1日から相続登記が義務化され、怠った場合は過料が科されることになりました。
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