相続税、大丈夫ですか?
今月の日経新聞に、相続税の税務調査についてとりあげた記事(令和5年3月5日付)がありました。相続税申告が必要な相続の約1割強に税務調査が入っており、税務調査の対象となった方の約8割以上に申告漏れが発見され、追徴課税がされているそうです(2016年の例)。1件当たりの追徴税額は、平均で568万円にもなると紹介されていました。
そこで、今回の記事では、相続税について簡単に取り上げます。
目次
相続税のあらまし
相続税とは、相続した財産にかかる税金です。
亡くなった方から相続などによって、「基礎控除」を超える財産を取得した場合、相続税の申告をする必要があります。
基礎控除とは
基礎控除 = 3,000万 + 法定相続人の数 × 600万円
法定相続人についての記事はこちら。
なお、ここでの法定相続人には、相続放棄は考慮されません(相続人のうち相続の放棄をした人があっても、その放棄がなかったものとして計算します)。
また、養子がいる場合に法定相続人の数に含める養子の数は1人まで(実子がいないときは2人)となります。
申告期限
基礎控除を超過し、申告が必要な財産があった場合、相続開始の日(お亡くなりになった日)の翌日から10か月以内に、相続税の申告が必要です。
管轄税務署は、お亡くなりになった方の最後の住所地を所轄する税務署となります。
納税が必要な額の遺産があるときは、申告書を提出するとともに期限内に納税する必要があり、期限に遅れた場合には原則として加算税及び延滞税がかかります。
相続税の対象となる財産と、控除できる支払等については次回の記事でご紹介します。
※相続税の申告は、ご本人で行うか、税理士に依頼する必要があります。
前回の記事では、相続税についてあらましを紹介しました。今回は相続税の対象となる財産と、控除できる支払等についてご紹介します。
課税遺産額(相続税の対象となる財産)の計算の仕方
1.相続や遺贈によって取得した財産(遺産総額)の価額と、3年以内の贈与、そして相続時精算課税の適用を受ける財産の価額を合計します。
2.1から債務・葬式費用、非課税財産を差し引いて、遺産額を算出します。
3.2から上記の基礎控除額を差し引いて、課税遺産総額を算出します。
※遺産額が基礎控除額を超えない場合には、相続税はかからず、申告も必要ではありません。
相続税の対象となる財産とは
① 亡くなった時点において所有していた財産
土地・建物、株式や公社債などの有価証券、預貯金、現金などのほか、金銭に見積もることができる全ての財産です。そのため、日本国内に所在する財産のほか、海外で所有する財産も相続税の課税対象です。
財産の名義にかかわらず、被相続人の財産で家族の名義となっているものも相続税の課税対象となります。
② みなし相続財産
被相続人の死亡にともない支払われる生命保険金や退職金は、相続などによって取得したものとみなされ、相続税の課税対象となります。
ただし、生命保険金や退職金は一定の金額までは非課税扱いとなります。
③ 相続時精算課税適用財産
被相続人から生前に贈与を受け、相続時精算課税を適用して申告をしていた場合、その財産は相続税の課税対象となります。この場合、相続開始の時の価額ではなく、贈与の時の価額を相続税の課税価格とします。
④ 相続開始前3年以内に取得した暦年課税適用財産
相続人等が、被相続人が亡くなる前3年以内に被相続人から贈与を受けた財産は、相続税の課税対象となります。この場合、相続開始の時の価額ではなく、贈与の時の価額を相続税の課税価格とします。
なお、令和5年度の税制改正により、持ち戻しの対象となる贈与が3年から7年に延長されることになりました。詳しくはこちら
控除の対象になるもの
相続財産の価額から控除できる債務と葬式費用
被相続人の「債務」と被相続人の葬式に際して相続人が負担した「葬式費用」は、相続財産の価額から差し引かれます。
差し引くことができる債務には、借入金や未払金などのほか、被相続人が納めなければならなかった税金で、まだ納めていなかったものも含まれます。
また、葬式費用とは、お寺などへの支払、葬儀会社などへの支払、お通夜に要した費用などです。なお、墓地や墓碑などの購入費用、香典返しの費用や法要に要した費用などは、葬式費用に含まれません。
非課税財産とは
① 墓地・お仏壇・祭具などの祭祀財産
② 国や地方公共団体、特定の公益法人に寄附した財産
③ 生命保険金のうち、500万円 × 法定相続人の数
④ 死亡退職金のうち、500万円 × 法定相続人の数
※相続税の申告は、ご本人で行うか、税理士に依頼する必要があります。
令和6年4月1日から相続登記が義務化され、怠った場合は過料が科されることになりました。
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