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“放置空き家”増加を防ぐ!不動産業者の仲介手数料について

全国で空き家の増加が止まりません。

以前の記事でも紹介しましたが、令和5年(2023年)10月時点の空き家は全国で900万戸に達し、住宅総数に占める割合は13.8%と過去最高になっています。広島県では15.8%、山口県では19.4%と、いずれも全国平均を上回る数値です。
なかでも、賃貸や売却などの活用・処分もされていない“放置空き家”は385万戸もの数に増加しており、周辺不動産の価値を下落させたり、開発の妨げになったりするなど、重大な社会問題になっています。

国は、“放置空き家”の固定資産税賦課を強化したり、あるいは各地方自治体で「空き家バンク」の制度を整えたり、「空き家特例」を改正したりするなど、空き家解消のための様々な施策をすすめています。

そして、この7月から始まるのが、“低廉空き家”の不動産仲介手数料上限引き上げです。
不動産業者の仲介手数料の上限引き上げが、なぜ空き家市場の活性化につながるのでしょうか。以下、簡単に解説します。

 

仲介手数料とは

ここでいう仲介手数料とは、宅地建物取引業者が不動産の売買等を仲介するにあたり、依頼者から受ける報酬のことです。
不動産業者の仲介手数料は、売買価格に対して下記のように上限が定められています。

200万円以下の部分 5%
200万円を超え400万円以下の部分 4%
400万円を超える部分 3%

 

たとえば、売買代金2000万円の不動産取引を依頼した場合、

・200万円以下の部分: 200万円×5%=10万円
・200万円超~400万円以下の部分: 200万円×4%=8万円
・400万円超の部分: 1600万円×3%=48万円  となり、

合計66万円(税抜)が不動産業者に支払う仲介手数料の上限となります。

 

一方、売買代金が100万円の不動産の場合はどうでしょうか。
上記のとおり計算すると、100万円×5%で、不動産業者の仲介手数料は5万円になってしまいます。

田舎の空き家で、購入希望者も限られるような不動産の場合、売却活動はえてして困難になります。特に古家の場合は、今日の取引で必要となる様々な基準を満たしていないことも多いため、調査にも手間がかかります。交通の便が悪く、物件調査にも手間がかかるような案件で、不動産としての市場価値が低く、仲介手数料が5万円しか請求できないのであれば、不動産業者が二の足を踏むことも多いでしょう。

依頼人としてはお金をかけても売却したい場合でも、法令上の上限があるのでは仕方がありません。

 

“低廉空き家”の仲介手数料引き上げ(令和6年7月1日から)

このような不動産を売りやすくし、空き家市場を活性化させるために、国土交通省は不動産業者の仲介手数料の上限を段階的に引き上げてきました。

令和6年の改正では、「物件売買価格が800万円以下の場合、最大30万円(税抜)を受け取ることができる」ように変更されました。この改正により、上記のような売買価格が100万円に満たないような取引であっても、仲介手数料を最大で30万円と定めることができるということになります。

不動産業者が取引を忌避することなく、積極的に空き家の売買に取り組むようになることが期待されます。

 

宅地建物取引業者が宅地又は建物の売買等に関して受けることができる報酬の額(国土交通省) 令和6年7月1日施行

第二条 売買又は交換の媒介に関する報酬の額

宅地建物取引業者(…)が宅地又は建物(建物の一部を含む。以下同じ。)の売買又は交換の媒介に関して依頼者から受けることのできる報酬の額(当該媒介に係る消費税等相当額を含む。)は、依頼者の一方につき、それぞれ、当該売買に係る代金の額(当該売買に係る消費税等相当額を含まないものとする。)又は当該交換に係る宅地若しくは建物の価額(…)を次の表の上欄に掲げる金額に区分してそれぞれの金額に同表の下欄に掲げる割合を乗じて得た金額を合計した金額以内とする。
二百万円以下の金額百分の五・五
二百万円を超え四百万円以下の金額百分の四・四
四百万円を超える金額百分の三・三

第七条 低廉な空家等の売買又は交換の媒介における特例

低廉な空家等(売買に係る代金の額(当該売買に係る消費税等相当額を含まないものとする。)又は交換に係る宅地若しくは建物の価額(当該交換に係る消費税等相当額を含まないものとし、当該交換に係る宅地又は建物の価額に差があるときは、これらの価額のうちいずれか多い価額とする。)が八百万円以下の金額の宅地又は建物をいう。以下同じ。)の売買又は交換の媒介に関して依頼者から受ける報酬の額(当該媒介に係る消費税等相当額を含む。以下この規定において同じ。)については、宅地建物取引業者は、第二の規定にかかわらず、当該媒介に要する費用を勘案して、第二の計算方法により算出した金額を超えて報酬を受けることができる。この場合において、当該依頼者から受ける報酬の額は三十万円の一・一倍に相当する金額を超えてはならない。

 

 

まずは相続登記が必要

不動産は、お亡くなりになった方の名義のままでは処分できません。空き家の売却にも、まずは相続登記が必要となります。空き家特例の適用を受けるには、相続開始から3年以内(※1)に不動産を売却する必要がありますので、納得のいく販売活動ができるよう、相続登記は早めに済ませておきましょう。

処分を検討されている空き家については、空き家特例が適用される間に、ぜひご売却されることをおすすめします。

まずは当事務所まで、お気軽にご相談ください。

 

令和6年4月1日から相続登記が義務化され、怠った場合は過料が科されることになりました。

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