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【不動産登記】表示登記と登記原因証明情報の日付について

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    1. 分筆と売買の登記原因証明情報の日付 (2020/12/23記載)
    2. 建物の新築年月日と抵当権設定契約の日付 (2021/01/08更新)
    3. 土地の分筆登記と遺産分割協議書の成立日について (2021/01/22更新)

     

    分筆と売買の登記原因証明情報の日付

    不動産の売買の登記実務において、売主が宅地を造成し分譲する場合など、売買契約の時点では土地の合筆や分筆が終わっておらず、売買の対象となる土地にまだ地番がついていないケースがしばしば存在します。
    その場合、売買契約書では現在の土地の表示をしたうえで、売買対象をその一部と記載し、予定の地番や地積を記載し、売買対象の図面を添付するような形で契約を交わすことが多いようです。

    このようなとき、通常は実際の売買の日(残代金の支払い時)までに売主が分筆登記を完了させ、分筆後の土地について売買の日を登記原因日として所有権移転登記の申請を行うことになります。しかしながら、売買の日までに分筆登記が完了しない場合、どのように考えたらよいのでしょうか。

    これについて、登記研究に回答がありました。

    分筆登記後における所有権移転登記申請をする場合の登記原因証書の適否と原因の日付

    ( 要 旨 )
    分筆登記後に当該土地について売買による所有権の移転登記申請をする場合において、申請書に添付した原因証書作成の日付(登記原因の日付と一致)が分筆登記前の日付のものであっても、そのまま受理して差し支えない(登記研究375号81頁)。

     

    この場合でも当然登記申請は分筆登記後の土地について行うことになりますので、登記原因日(売買の日)よりも登記申請が遅れることになります。よって、宅建業者が仲介し、銀行の融資があるような通常の土地売買においては、ほとんどありえないケースと思われます。ただし、当事者間で合意があれば、取引としても登記においても全く問題ありませんので、ご参考になれば幸いです。

     

    建物の新築年月日と抵当権設定契約の日付

    土地の分筆と売買の登記原因証明情報の日付についてはこちらの記事をご覧ください。
    今回は、建物の新築年月日と、抵当権設定契約日の前後について取り上げます。

    例えば、新築年月日が令和2年1月8日と登記された建物について、令和2年1月7日付で契約された抵当権を設定登記することができるのか、という問題です。これは、土地の分筆と違い、仮に、“まだ存在しない建物”について契約された根抵当権が、はたして有効なのかという問いにもつながります。

    先例は下記のような見解です。

    昭和39年4月6日民事甲1291号回答

    建物の建築年月日前に締結した抵当権設定契約に基づく登記については、受理して差し支えない

    この理由として、「かりに建物とみなすことのできる程度に建築が進行する以前に建築中の建物を目的とする抵当権設定契約が事実上締結されたとしても、これを登記官吏としては知ることができないから、登記原因を証する書面において明らかな場合を除き、右の契約に基づく抵当権設定登記の申請は受理することにな」ると回答されています。

    建物の新築年月日とは

    そもそも、「建物の新築」とはどのような状態となったことをいうのでしょうか。
    現在の登記実務では、「建物とは、屋根及び周壁又はこれに類するものを有し、土地に定着した構造物であって、その目的とする用途に供しうる状態にあるものをいう」とされているようです。また、表示登記においては、種類・構造・床面積の記載が必要なため、すくなくとも、居宅や事務所、店舗などの建物の種類確定ができる程度に工事が進捗していなければならないといえます。

    建物の表示登記が申請されると、登記官は現地調査を原則として行うものとされていますが、添付書類等で申請に係る事項が相当と認める場合は実地調査の省略が認められます。そのため、たとえば表示登記にあたって建築請負人の引渡証明書が添付され、その引渡しの日付と、申請書に記載された新築年月日が一致(あるいは近接)する場合、その申請書に記載された新築年月日がそのまま登記されることが通例のようです。

    これは、上記で紹介した回答のとおり、実際のところ登記官が実地調査をしたとしても、“過去の事実”である新築の年月日について、その日時点で要件を備えていたか、真偽の判断が困難であるから、ということであると思われます。

    (参考)
    昭和39年4月6日民事甲1291号回答
    登記研究626号121頁~138頁

     

    土地の分筆登記と遺産分割協議書の成立日について

    土地の分筆と売買の登記原因証明情報の日付についてはこちらの記事をご覧ください。
    建物の表示登記と抵当権設定契約証書の日付についてはこちらの記事をご覧ください。
    今回は、土地の分筆登記と遺産分割による相続登記について取り上げます。

    被相続人の遺産を分割するにあたって、不動産はそのままでは分けることができず、土地を切って(分筆して)分割するということがしばしば行われます。この場合、登記のやり方がいくつか考えられますが、ここでは以下の二つの方法をとりあげてみます。

     

    1.土地を分筆し、分筆後に遺産分割協議書を作成する

    まずは分割案にしたがって分筆登記を行ったのち、相続登記を行います。この方法では、いったん被相続人名義のまま、相続証明(戸籍等)を添付して相続人の全員から分筆登記を行うことになります。その後、分筆後の地番について正式に遺産分割協議を行い、各地番についてそれぞれの相続人の名義に相続登記を申請します。

     

    2.遺産分割協議書を作成し、分筆登記を行う

    この場合は、分筆後の予定図面を添付して遺産分割協議書を作成し、協議書に従って分筆登記を申請します(※)。その後、予定図面が添付された遺産分割協議書を使用して相続登記を行います。すなわち、登記原因証明情報たる遺産分割協議書の日付より、分筆の登記の日が後であったとしても、相続登記の申請が可能ということになります。

     

    ここで注意すべきなのは、遺産分割協議書に添付した予定図面と、実際の分筆登記にずれが生じてしまった場合です。こうなってしまうと、多少の齟齬であってもこの遺産分割協議書は、相続登記の登記原因証明情報として使用することができません。たとえ予定図面によって位置関係が推定できたとしても、相続登記を行うにあたって、再度遺産分割協議を行うか、合意書を交わす必要があると考えられます。相続人間に不和があるケースなどでは、せっかく苦労して交わした遺産分割協議書なのに、肝心の登記ができないという結果になってしまう可能性があります。

     

    ※この場合、登記実務上は、分筆後の地積測量図又は分筆図等が添付された遺産分割協議書が添付書類として提出されていれば、相続人の一人からでも分筆登記ができるものとされているようです(分筆する土地が明確になっていることが必要です)。すなわち、書類さえ整えば分筆登記と相続登記いずれの登記も各相続人が独立して申請できるということになります。ただし、分筆線の位置が誤っていたとして、この分筆登記を錯誤により抹消するには、相続人の全員から申請する必要があります。

     

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