お役立ち情報

『空き家特例』の活用ができない!?についての対策(前編)

(注)今回のお役立ち情報は、税法上の内容が含まれております。

本内容の税法上の内容につきましては、必ずお手続きの際に税務署、税理士などでご確認をしてください。

 

はじめに

いわゆる『空き家特例』とは、『空き家に係る譲渡所得の特別控除の特例』のことです。

親がなくなり、空き家となった住宅を相続人が売却した場合、一定の要件を満たすことで、

相続不動産売却にともなう譲渡所得から最大3,000万円(※)の控除が認められる譲渡所得税の特例です。

(※)令和6年1月1日以後、相続人が3人以上の場合だと2,000万円です。

空き家の管理・維持や固定資産税を支払い続けることを避けるため、『空き家特例』を活用した売却を検討される方が増えております。

 

なお、『空き家特例』について詳しい内容を別のお役立ち情報に掲載しております。

下記のお役立ち情報もぜひご参考にしてください。

🔳 空き家特例について

🔳 “放置空き家”増加を防ぐ!「空き家特例」改正について

🔳 “放置空き家”増加を防ぐ!不動産業者の仲介手数料について

 

空き家特例の要件を満たさない相続登記方法にご注意を!!

空き家特例の活用するためには、『相続が発生したことによって空き家になったこと』が前提条件としてあります。

要は、亡くなられたことによって誰もいない空き家となったということです。

実はこの前提条件を満たさないような相続登記方法をしたがゆえに、

空き家特例が使えない方がいらっしゃいます。

次にそのような事例を踏まえて、どのような注意を要するのかを解説していきましょう。

 

空き家特例が問題となる典型的なパターン

 『事例』

  • 相続する不動産には両親が2人で暮らしていた。
  • その不動産は、父が名義人(所有者)となっている。
  • 令和5年に父が死亡し、令和6年に母が亡くなった。
  • お父様が亡くなってから相続登記は何もなされていない。
  • 空き家になったことをきっかけに両親の子が相続登記をした。

なお、その他の空き家特例の要件は満たしている。

 

さて、先ほど申し上げました、空き家特例の前提条件の『相続が発生したことによって空き家になったこと』を思い出してください。

この事例の場合、上記の前提条件になるには、まず不動産の名義は母の名義(これを、死者名義の相続登記と言います。)にする必要があります。(※)

なぜなら、父が亡くなった時点では、母は存命で不動産にお住まいであり空き家ではない状態であるからです。

つまり、『相続が発生したことによって空き家になったこと』=『母が亡くなったことで空き家になった』でありますから、

その一連の流れが、登記の手続きで分かるようにする必要があるのです。

具体的には、「① 亡父→亡母 の相続登記」・「② 亡母→子 の相続登記」の2段階の相続登記が手続きとして必要となるのです。

 

この事例は数次相続と呼ばれており、空き家特例の際に気を付けておかねばならない最たる例なのです。

なぜなら、このような数次相続は、司法書士の実務上「亡父→子」へ直接名義変更をすることが通常だからです。

 

そのため、

〝司法書士へ相続登記を依頼し、「子である自分の相続登記をしてほしい」とだけ伝えて依頼すると、

司法書士が相続登記費用が節約できると気を利かして、「亡父→子」へ直接名義変更をしてしまった。〟

あるいは、

〝ご自身で手続きをされて、なるべく楽な方法でと検討した結果、「亡父→子」へ直接名義変更をしてしまった。〟

という空き家特例が使えなくなる状態になってしまうことが多いのです。

 

もう直接名義変更した相続登記をしてしまった!!空き家特例をできるよう登記をやり直すことはできないか??

空き家特例が適用不可になりかねないことですので、慎重に検討が必要です。

そのためにも空き家特例に精通する司法書士事務所に相談をするのが良いです。

(もちろん、税理士に相談することも必要ですが、逆に税理士の方は登記について詳しくない方が大半ですし、

税理士が連携してくれる司法書士が空き家特例に詳しい司法書士とは限らないのです。)

 

そこでもし、既に空き家特例が適用不可な登記をしてしまった場合、その適用ができる可能性のあるや相続登記のやり直しの登記の方法を次回にてご紹介いたします。

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