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第1回 清算型遺贈- 意義、登記申請の流れ -

1.清算型遺贈とは?

遺贈とは、遺言によって、遺言を作成された方の遺産を無償で譲渡することです。

遺贈は、遺産全てという包括的に譲渡も、遺産の一部を譲渡することも可能です。

また、遺贈は、遺産を処分する相手は、相続人はもちろん、第三者(=相続人以外の方)に対しても可能です。

 

遺贈では(相続も同様ですが)、不動産や預貯金(解約による払戻し金)等の遺産はそのまま引き継がれる事が多いです。

しかし、ご実家の不動産がある場合に、不動産をそのまま引き継ぐことがあまり有益ではないことがあります。

 

例えば、遺産を受け取る方が既にマイホームを所有している場合、遺産である不動産をそのままを相続されることで、

引き継がれた方に使用しない不動産の固定資産税や修繕などの維持費・労力が発生することが最たる例でしょう。

 

そのようなケースを避ける方法として、『遺産の全部または一部を、換価(売却)して得られた金銭を遺贈する』旨のある、

遺言書を作成し、遺産そのものを換価処分(売却)し、換価された金銭を遺贈することが可能です。

なお、換価のためにかかった費用(遺言執行者の報酬を含む)は、換価して得られた金銭から清算されます。

 

このような方法を『清算型遺贈』といいます。

 

※なお、精算型遺贈のための遺言について、遺言執行者の指定等の遺言文言が非常に重要です。

そのため、別の回で述べさせていただきます。

 

2.精算型遺贈の登記申請方法

前述の具体例として不動産を挙げました。

不動産登記申請の方法を、関連する重要な先例を踏まえて、不動産登記申請の流れを説明していきます。

 

まず、遺言の効力は、遺言者(=遺言を遺された方)が死亡した時から効力を生じます。(民法 第958条 遺言効力の発生時期)

また、遺言にて、遺言執行者を定めていれば(民法 第1006条 遺言執行者の指定)、遺言者の死亡後、

遺言執行者が直ちに遺言内容の実現のために必要な手続きを行えます。(民法 第1012条 1項 2項 遺言執行者の権利義務)

 

清算型遺贈に関する不動産登記申請は、当然に遺言内容の実現に必要な手続きです。

その不動産登記申請方法を説明するにあたり、重要な先例2つ紹介します。


『登記研究質疑応答822 189頁』

 清算型遺贈の旨がある遺言に基づき、遺言執行が不動産を売却して、買主名義に所有権移転登記をする場合には、

 その前提となる相続登記については登記実務上、中間省略できないものであって遺言執行者は相続人の法定代理として、

 単独で相続登記申請が可能である。


『昭和52年2月5日民三第773号回答』

 遺言執行者の単独申請により被相続人名義から相続人名義に相続による所有権移転登記を経由した上で、

 遺言執行者と買主との共同申請により相続人名義から買主名義への所有権移転登記をすべきである


 →上記の2つ先例を簡単に言えば、

  清算型遺贈における登記申請は、

  ➀相続を原因とする所有権移転②売買を原因とする所有権移転の2段階の登記申請が必要ということです。

  また、

  ➀は遺言執行者が単独で申請ができ、②は遺言執行者と買主との共同での申請となります。

  (重要なことは、この2つの申請には相続人が手続きに参入する必要がないということです。)

 

3.登記申請情報及び添付情報

 

前段の登記申請について、登記申請書とその申請に必要な添付書類を説明していきます。

今回の登記申請に関しては、インターネットや実務書では、具体的な解説はあまり見かけません。

そのため、当事務所で実際に行った申請内容を参考に具体的に記載していきます。

(実際に申請をされる前は、管轄の法務局にて必ずご確認ください。)

 

 

① 相続による所有権移転について

  ※申請情報の一部

     

② 売買による所有権移転について

  ※申請情報の一部

 

4.②売買による所有権移転の登記原因証明情報(記載例)  

  前段の②申請の『登記原因証明情報』を具体的に記載して、第1回清算型遺贈を終了します。

  下記内容もあまり、インターネットや実務書で見かけません。

  しかし、本内容で無事登記手続きを完了しておりますので、ご参考にはなるはずです。

  (実際に申請をされる前は、管轄の法務局にて必ずご確認ください。)

 

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