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マンションの相続税負担増加へ

国税庁は、いわゆるマンション節税(タワマン節税)の防止にむけて、マンションの相続税評価を見直し、課税を強化する方針です。
令和5年中には現行の評価方法を定めた国税庁通達(昭和39年通達)が改正され、令和6年1月1日以降に発生した相続については、新しい評価方法が適用される見込みです。

以下、簡単に解説します。

 

マンション節税(タワマン節税)とは

現行のマンションの評価方法は下記のとおりです。

 

建物(区分所有建物)の評価額: 固定資産税評価額 × 1.0
+  
敷地利用権(敷地権)の評価額: 敷地全体の面積 × 敷地権の割合 × 路線価など

 

このとき、建物の固定資産評価額は、建築価格をベースにして算定されますが、実際の市場価格(実勢価格)においては、マンション全体の総階数や、その部屋の所在階が大きく考慮されるため、一般的に高層階の部屋は市場価格より相続税評価額が低くなります

また、敷地権(土地に対する権利)については、一戸建てと違い、各部屋の専有面積に応じて按分計算されるため、敷地の市場価格に対して評価額が大幅に圧縮されます。高層マンションになればなるほど、土地の面積に対して部屋数が増えて、敷地権の割合が少なくなるため、時価と評価額に乖離が生じます。

そのため、立地条件のよいタワーマンションの高層階を購入することは、富裕層の相続税対策の定番とされていました。

 

 

令和4年の最高裁判決

令和4年4月に、この「マンション節税」を問題視し、国税当局の追徴課税を認める最高裁判決が出されたことから、令和5年度の税制改正大綱では、マンションの評価方法を見直すという方針が記載されました。

この最高裁判決は、下記のような事案について出されたものでした。

平成24年に被相続人(当時94歳)が死去。
相続人である子3名は、被相続人が3年前に13億8700万円で購入したマンションについて、路線価をもとに3億3000万円であると評価。さらに借入金等と相殺することで、相続税はかからないものとして申告しました。国税当局はこの申告について更正処分を出し、追徴課税として約2億4,050万円を相続人に賦課。相続人はこれを不当とし、処分取り消しを求めて最高裁まで争うことととなります。

じつは、上記で紹介した評価通達には例外規定が設けられています。評価通達の冒頭、第1章「総則」内、第6項に「この通達の定めによって評価することが著しく不適当と認められる財産の価額は、国税庁長官の指示を受けて評価する。」という規定があり、国税当局はこの事案について、“総則6項”を適用することを主張し、相続人側はそれを争う形となりました。

注目を集めたこの裁判ですが、最高裁は「他の納税者との間に看過しがたい不均衡が生じ租税負担の公平に反する」とし、相続人の訴えを棄却しました。

 

評価方法の見直しへ

今回、国税庁は、マンション節税を防ぎ、相続税評価の適正化の措置をとるとしています。
現在の見直し案によると、下記のような方法で、実勢価格を評価に反映することが検討されています。

① 築年数や階数などに基づき、評価額と実勢価格の乖離の割合(乖離率)を計算
② 乖離率が1.67倍以上の場合、従来の評価額に乖離率と0.6を掛けて補正

調査によると、全国の20階以上のマンションについて、実勢価格と相続税評価の乖離率は平均3.16倍であるとされ、大半の住戸で税負担が増加するものとみられています。

 

具体的な乖離率(補正率)の算出方法などについては、今後の詳報が待たれます。
ご参考になれば幸いです。

 

令和6年4月1日から相続登記が義務化され、怠った場合は過料が科されることになりました。

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