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認知症対策のための民事信託(家族信託)とは

民事信託(家族信託)とは

最近、「家族信託」という言葉を耳にして、事務所に相談に訪れるお客様が増えてきています。
「信託」とは、財産を信頼できる人に託し、管理・運用・処分をしてもらう仕組みで、英米では古くから存在しています。
日本でも旧信託法が大正11年(1921年)に公布されて存在していましたが、より使いやすくする目的で、平成18年(2006年)に全面改正されました。

信託では、財産を託す人を「委託者」、託される人を「受託者」と呼び、受託者により財産の管理・運用・処分を行った結果、その利益を享受する「受益者」が存在します。

従来、信託といえば、投資信託など信託銀行のようなプロが、受託者となって管理・運用することが一般的でした。
プロとして信託の受託者となるには、信託業法により金融庁から信託業の免許を受ける必要があり、次にあげる民事信託との対比から商事信託と呼ばれています。

一方、プロではない“家族“が受託者となって、財産の管理・運用・処分を行う民事信託(家族信託)が今注目されています。

 

成年後見制度のデメリット

長寿命化に伴い、誰もが認知症を発症するリスクをかかえる時代です。
認知症になると、金融機関に預金があっても一度に多額の現金を引き出すことができず、所有する不動産があっても売却等の処分ができなくなります。
そこで、自分の介護を行う家族が介護等に必要な費用を確保できるようにするため、元気なうちに家族信託契約を結んで、ご本人の財産をご家族が管理・運用・処分することができるようにするために民事信託(家族信託)が利用され始めています。

通常、認知症対策といえば成年後見制度を利用するのが一般的ですが、様々なデメリットを嫌って、民事信託(家族信託)を希望される方が増えている印象です。

成年後見制度は、大きく「法定後見」と「任意後見」に分けられます。

「法定後見」は、裁判所が選任した後見人が本人に代わって法律行為(財産の管理・運用・処分の契約など)を行うもので、裁判所への申立ての際、後見人候補者を挙げることができるものの、あくまで誰を後見人にするかは裁判所の専権事項です。もし、後見人としてプロ(弁護士、司法書士、社会福祉士など)が選任された場合には、毎月の報酬(3万円~5万円)を支払う必要があります。

「任意後見」は、自分で後見人となる人を決めることができるものの、前もって任意後見契約書を公正証書で作成しておき、本人が認知症を発症し意思能力が失われた状態になってから、裁判所に後見監督人選任の申立てをすることでスタートします。
任意後見契約を作成するには、作成時点の本人の財産を基準に定められた公証人の手数料を支払う必要があり、さらに、後見監督人にはプロが選ばれるため、毎月報酬(1万円~2万円ほど)を支払う必要があります。

介護費用だけでも多額の出費があるのに、それ以外に費用が必要となるのであれば、二の足を踏みたくなるのも当然です。

また、後見人は、財産の収支や使途などを定期的に裁判所や後見監督人に報告する必要があり、この手間を嫌う人も多いようです。

そこで、介護などの身の回りの世話は家族としての扶養義務をベースにしつつ、財産の管理・運用・処分を家族間の信託契約で行う民事信託(家族信託)が注目されているわけです。

 

民事信託(家族信託)成立後の管理

民事信託(家族信託)契約が設定されると、預金などの現金は、委託者・受託者の死亡・破産等で凍結されない「信託口口座」で管理し、不動産は「信託登記」を行う必要があります。
そして、その他動産などの財産は、信託契約書の定めに従い、受託者の個人財産と分別して管理することが求められます。

このような義務が生じるとはいえ、家計簿をつけたり、通帳の入出金記録に使途と支払先をメモしておいたりとご自身の家計管理の感覚で記録をしっかり残しておけば良く、裁判所などへの定期的な報告に比べると、気持ちの部分ではかなり楽だと思います。

なお、金融機関で「信託口口座」を開設する場合、口座名義は「委託者A 受託者B 信託口」のような形になるのですが、そもそも「信託口口座」の開設に応じていない金融機関も多く、「信託口口座」の開設には応じるものの、後で述べる金融機関独自の商品を契約しなければならなかったり、公正証書で信託契約書を作成されていなければ口座開設に応じないといったところも多いようです。

公正証書によって信託契約書を作成しなくても、信託口口座の開設に応じてくれる金融機関もありますし、推定相続人間で紛争の可能性がある場合は、委託者の意思確認を厳格に行なったことを後日のために証拠を残しておく意味で、公正証書により家族信託契約書を作成しておく方がよく、ケースバイケースでご提案させていただいております。

なお、信託は信託契約書で柔軟な定めができますが、上で紹介した「認知症対策」のほか、次の4つの使い方が効果的であるとされており、後日ご紹介できたらと考えております。
・共有不動産解消
・親亡き後の障害のある子どもへのサポート
・事業承継対策
・遺言代用信託

 

金融機関に「家族信託」を相談することは禁物

なお、民事信託(家族信託)を始めるにあたり、直接、金融機関に相談することはお勧めできません。
金融機関では、上記のような民事信託(家族信託)の有用性に着目し、家族信託契約書の作成から信託口口座の開設などをパッケージにした商品の販売が行われていますが、初期費用だけで70万円近くかかる商品や、毎月約4万円の手数料を取られる商品もあり、手数料ビジネスの一環と考えられています(「週刊現代 2021年8/7・14号 P48」)。

これは、信託契約書の作成・チェックは弁護士に、不動産の信託登記は司法書士に、出来上がった信託契約書の税務上のチェックは税理士に…というように、金融機関が、提携している外部の専門家に振り分けを行い、そのコーディネートを行う金融機関の手数料も上乗せして費用を設定しており、どうしても費用が高額になりがちなのです。

司法書士試験では、不動産登記法の信託に関する登記を通じて、信託法の理解も問われるため、信託契約書の作成は司法書士が最適です。
また、税務との関係も重要なため、司法書士法人いわさき総合事務所では、必要に応じて提携の税理士事務所と連携して対応させていただきます。
初回、最初の30分は相談無料です。ご検討ください。

 

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