司法書士が相続トラブル対策を考える‐お子さまがいらっしゃらないご夫婦編‐
お子さまがいらっしゃらないご夫婦の場合、共に築き上げたご自宅をはじめとする資産を配偶者に全て遺したいとお考えになられる方が多いです。
しかしお子さまがいらっしゃらないご夫婦に相続が発生した際には、残された配偶者のほかにも、亡くなった方の親御様や兄弟姉妹、甥姪が法定相続人となりますので、ご生前の対策が重要です。
お子さまがいらっしゃらないご夫婦の相続の仕組み
民法上、配偶者は常に相続人です。
配偶者以外の相続人は立場により順位が定められており、先順位の相続人がいない場合は次の順位の方が相続人となります。
第一順位……子(または孫)
第二順位……親(または祖父母)
第二順位……兄弟姉妹(または甥姪)
また、それぞれの順位に応じて法定相続分という相続分の割合も定めがあります。
法定相続分に則ると、夫が亡くなり両親が健在の場合、妻が2/3、両親が1/3(それぞれ1/6ずつ)を相続します。両親も亡くなっていれば、配偶者が3/4、兄弟姉妹全員で1/4を相続します。
起こりやすいトラブル実例
• 配偶者と被相続人の親族が疎遠・不仲で遺産分割協議が進まない
• 兄弟姉妹や甥姪が多数いて連絡が取れず、手続きが長期化
• 被相続人の親族が遺産の分け方に不満を持ち、争いになる
• 配偶者が自宅に住み続けられなくなるリスク
トラブルを避けるための主な対策
1. 遺言書の作成
法的に有効な遺言書があれば、遺産分割協議を行わずに被相続人の生前の意思通りに財産を配分できます。
例えば、「全財産を配偶者に相続させる」と明記することで、配偶者の生活を守りやすくなります。
更に公正証書遺言を利用すれば、紛失や改ざんのリスクも減らせます。
ただし、被相続人の親や祖父母には「遺留分(最低限の取り分)」が認められており、完全に排除することはできません(兄弟姉妹には遺留分はありません)。
2. 生前贈与の活用
生前に配偶者へ財産を贈与することで、相続時のトラブルを減らせます。ただし、贈与税や持ち戻し規定(死亡前3年以内の贈与は相続財産に加算)に注意が必要です。
婚姻期間20年以上の夫婦であれば、「居住用不動産の配偶者控除(おしどり贈与)」を利用し、2,000万円(基礎控除110万円とあわせると最高2,110万円)まで贈与税を非課税とすることが可能です。
3. 生命保険の活用
生命保険の受取人を配偶者に指定しておけば、保険金は遺産分割協議の対象外となり、確実に配偶者の手元に残せます。
4. 家族信託(民事信託)の利用
信頼できる親族などにご生前の契約により財産管理を委託し、自分亡きあとの配偶者の生活や住まいを守る方法もあります。
配偶者の死後の財産の帰属先も指定できるため、夫婦が共に死亡したあとの二次相続まで見据えた対策が可能です。
お子さまがいらっしゃらないご夫婦の生前対策は必須
配偶者亡きあと、生計を共にしていない親族との遺産分割に関するお話し合いは、スムーズにいかないことも多いようです。
遺言書の作成や生前贈与、生命保険、 家族信託(民事信託) などを活用し、早めに対策を講じておくことが、大切な配偶者を守る最善の方法です。
司法書士法人いわさき総合事務所では、お客様の具体的な事情やご希望をしっかりとヒアリングし、最適な相続対策をご提案いたします。
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